ANA vs JAL 比べてみました 財務諸表その1
2018年度決算より
両社とも良い決算でした
ANAホールディング株式会社と日本航空株式会社ともに決算短信を発表し、もう間もなく株主総会を迎えます。
ANAは6月21日、JALは6月18日が定時株主総会の予定だそうです。
有価証券報告書は株主総会の翌日に発表されますが、その前に勝手に両社の決算書を見比べてみます。
個人的な見解ですので、突っ込みどころは満載だとは思いますが、お許しください。
ANAグループでは、売上高は2兆円を超え、JALグループの約1.4倍の規模を誇っています。
Peachも完全子会社とし、LCCからFSC(フルサービスキャリア)までのラインアップです。
一方、JALは今まではLCCと若干距離を置いて、ジェットスター・ジャパンに1/3の出資をするに留まっていましたが、ZIPAIR Tokyoを立ち上げ2020年にバンコクとソウルに飛行機を飛ばす計画を発表しました。
さてどうなるのやら。
まずは2018年度の両社の決算内容を見ていきたいと思います。
貸借対照表
両社の貸借対照表の比較です。
先ずは資産の部から。
単位は百万円です。
比べやすいように、月商比で比較しています。
ANAは現預金が683億円、0.4ヶ月分と非常に少ない気がします。
コミットメントラインか当座貸越の枠が用意されているのでしょうか。
ANAの決算短信には、現金同等物として有価証券2,250億円が記載されていましたが、中身は何なのでしょうか。気になるところです。
一方、JALの現預金4,600億円は月商比3.7ヶ月分。
余裕があるとはいえ、多すぎるような気もします。
有形固定資産の中身は、当然ながら航空機が圧倒的な存在感。
ANAは1兆円を超えています。JALも7,300億円。
ともに月商の約6か月分です。
現預金と有価証券以外の構成比以外は両社とも同じような構成でした。
次に負債と純資産の部です。
JALは2010年に負債総額2兆3221億円で会社更生法の適用を申請し倒産しました。
その関係で借入金をはじめとする有利子負債が免除され身軽になっています。
有利子負債でいうと
ANAが7,700億円に対しJALは1,368億円です。
ここが両社の一番の違いです。
但し別途説明しますが、ANAの有利子負債が過大かと言えば決してそのようなことは無く、JALが身を縮め過ぎているような気がしています。
ANAの有利子負債は月商の4.5ヶ月分、JALに至っては1.1ヶ月分です。
株主資本でいうとANAが1兆666億円に対し、JALは1兆1,864億円です。
ちなみに先週末の株価の終値は、
ANAホールディングス(株)は3,643円
日本航空(株)は3,536円
両社とも拮抗しています。
損益計算書
次に稼ぐ力について見てみます。
売上高は先程述べたようにANAがJALの1.4倍ですが、営業利益は100億円ほどJALの方が上です。
倒産を経験して、経費を含む無駄を排除したということでしょうか。
顧客に対する経費は排除しないで欲しいものです(笑)。
資産売却損、資産除却損が両社とも100億円単位で出ていますが、航空機売却によるものなのでしょう。
世界的には大きな装置産業である航空業界で、苦境にいる航空会社も数多くあると聞きますが、ANAとJALは両社とも1,000億円単位の最終利益を上げています。
まずまず良い決算だったのではないでしょうか。
次回は両社の決算についてもう少し深堀してみたいと思います。