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旅行やマイルの話を中心に、たまにグルメやラーメンの話など気ままなことを好きなように書いている大阪発信のブログです。

人事マンの呟き 労災と鬱病

労災について考えてみます

はじめに

私は勤務先で人事と労務管理の仕事をしています。

その為労災の事案に係わることがあります。

今日は労災について記事にしてみたいと思います。

 

なお、この記事は「会社側から見た労災」という視点になります。

「労働者側から見た労災」とは一部相違があるかもしれませんがお許しください。

 

itmbase.hatenablog.jp

 

労災とは

労災とは労働災害のことで業務中や通勤途上で発生した病気や怪我のことです。

 

労災と認められた場合は、労働災害保険(労災保険)で治療費や生活費を補償すること

が出来ます。

 

長時間労働パワハラ、不利益な配置転換に起因する精神疾患労災保険の申請を行う

ことが出来ます。

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労災保険の補償内容

労災保険で補償されるのは業務に起因する病気や怪我(業務災害)と通勤に起因する病

気や怪我(通勤災害)です。

従って、仕事を終えて仕事場で飲酒して酔っぱらって階段を踏み外したとか、帰りがけ

に(通勤経路から外れて)スポーツジムに寄って怪我をしたとかでは労災とは認められ

ません。

 

労災保険の補償内容は

・病気や怪我の治療費用

・療養の為に休業した場合の賃金

・病気や怪我の為に障害が残った場合の一時金

・病気や怪我の為に死亡した場合の一時金

・葬儀費用  などです。

 

療養の為に休業した場合は休業補償として給与日額の60%と特別支給金として給与日

額の20%の計80%相当額が支給されます。

この休業補償には税金はかかりません。

労災申請を会社が嫌がる理由

労災申請を会社が拒否したというケースをよく耳にします。

ネットをググれば、「労災に強い弁護士」のHPをいくらでも検索することが出来ま

す。

 

労災の申請を会社が嫌がる理由はいくつかあります。

労災保険の料率が上がることがある

・(認められれば)損害賠償として賃金と休業補償の差額40%を支払う必要がある

・慰謝料を請求されることがある

労働基準監督署の臨検を受けることがある

・臨検の結果、業務改善命令や是正勧告、業務停止命令を受けることがある

・マスコミに取り上げられる等のレピュテーションリスク(風評リスク)がある

などでしょうか。

 

また、病気や怪我の内容によってはいつ治るかという終わりが見えません。

当然、労災による休業中の解雇は認められません。

人事マンとして労災に向き合う

私は個人的な見解として、本当に業務に起因する労働災害であれば、積極的に従業員を

支援して、労災保険が受給できるように協力するべきだと考えます。

 

従業員を守ることこそが会社と従業員の信頼関係が築かれます。

そこから仕事をしやすい環境が生まれます。

 

きれいごとではなく、仕事をしやすい環境を作ることが、会社が発展することに寄与す

ることだと私は考えます。

労災と精神疾患の因果関係

判断は難しい

某広告代理店で若い女性が長時間労働鬱病になり、自殺したという事件が世の中を騒

がせました。

 

長時間労働や上司からのパワハラ、不利益な配置転換によって鬱病になることは確かに

あると思います。

一方、家庭環境や金銭問題、親しい人との別れや事故との遭遇などで鬱病になることも

あります。

 

鬱病の原因は様々です。

 

厚生労働省は、労災による鬱病の基準を設けています。

 

ただ、それでも精神疾患の原因が労災かどうかを判断することは難しいです。

 

ちなみに、労災で鬱病が認められたのは、増えてきたとは言っても4割程度。

申請の半分以上は労災による鬱病が認められていません。

私の勤務先の事例です

具体的に書くと特定されてしまう可能性があるので割愛しますが、絶対労災ではない従

業員が「長時間労働パワハラ」を理由として労災を申請しました。

 

ある日、とある弁護士から「労災の受任を受けました。労災申請を行うので申請書に会

社の印鑑を押してください」という書面が届いたのです。

 

当然、労災では無いので印鑑は押せませんと返信しました。

 

数日後、労働基準監督署から莫大な資料の提出を求められました。

また、時を同じくして、労働基準監督署の臨検を受けることとなりました。

こうしたことで、日常の業務に支障をきたすほどの作業に追われることになってしまい

ました。

 

結果、当然ながら労災は認められませんでしたが。

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労災申請の結果は会社には知らせない

余談ですが、労災が認められたかどうかは会社は分かりません。

申請したのは従業員個人であり、個人情報なので会社には教えません、というのが労働

基準監督署のスタンスのようです。

ですから、労働基準監督署に結果を聞いても教えてくれません。

 

あれだけ作業をさせられたのに、というのが会社の本音ですが。

従業員本人に聞かないと労災が認められたかどうかは分かりません。

労災による精神疾患を会社はどう考えるか

長時間労働鬱病になった

パワハラ鬱病になった

不利益な配置転換で鬱病になった

 

なかなかこうした事象を会社は認めたくはありません。

 

ただ、もし本当にそういうことがあったのであれば、会社は認めるべきで、労災が認め

られるように従業員に協力すべきというのが私の持論です。

 

そもそも長時間労働パワハラといった従業員への不利益が起きないようにすることが

人事マンの務めだと思います。

 

言うのは簡単と言われそうですが・・・。